断る――――前にもそう言ったはずだ
***


 モニカは酷く沈んだ気持ちで朝を迎えた。
 エルネストはいつもよりも口数が少なく、碌な会話をしないまま、二人はそれぞれの執務室へと向かう。


「おはようございます、妃殿下」


 その日は、コゼットが久々にお茶を淹れてくれた。
 彼女は相変わらず、困ったような、申し訳無さそうな笑みを浮かべ、モニカをチラチラと見つめてくる。時折悩ましげなため息を吐き、何とも気になる状況だ。


『ん? 妃殿下に関係することなのかい?』

『い、いえ。直接的には。
けれど、このままでは妃殿下にあまりにも申し訳なくて』


 ふと、昨日のカステルノー伯爵とコゼットの会話が思い出される。
 
 護衛たちは扉の向こう側にいるし、今この部屋にはコゼットの他に誰も居ない。
 モニカは彼女に声をかけた。


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