断る――――前にもそう言ったはずだ
(ああ、わたくしは本当に不要な存在だったのね)


 絶望がモニカの胸を突く。

 せめて、彼の口から『好きな女性が居る』と言ってくれたら良かったのに。

 ……いや、エルネストの想いなど知らないまま、コゼットが側妃に立ってくれたほうが、モニカは余程幸せだった。
 彼女の提案どおりに寝室を分けていれば、エルネストの願いはたやすく叶ったはずなのに。


(どうして?)


 この場に居ないエルネストに問い掛けたくなる。
 けれど、尋ねたところで彼は答えをくれないだろう。モニカはギュッと胸を押さえた。


「実は、今朝も殿下から『私に触れられたら良いのに』って言われたんです。『そうできたら僕は幸せなのに』って。
私、とても嬉しかった。殿下に愛されて、求められているんですもの。
だけど、そんなの無理ですよね? だって、エルネスト殿下は毎日、妃殿下と一緒にお休みになられているんですもの」

「――――貴女は、エルネスト様の想いに応えたいのね?」


 モニカが確認すれば、コゼットは躊躇いながらも小さく頷く。


 コゼットの表情を見れば分かる。
 彼女はエルネストを恋い慕っているのだ。


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