断る――――前にもそう言ったはずだ
(ああ、だけど――――それはわたくしだって同じ)


 たとえどんなに冷たくされようと、モニカはエルネストのことを慕っていた。

 この三年間、夫婦として共に生活してきたのだ。
 今は無理でも、いつかはエルネストに愛情が芽生えるかも知れない――――そんな期待がなかったといったら嘘になる。


 結婚式を挙げたら。
 肌を重ねたら。
 子ができたら。
 一年後、二年後、三年が経てば或いは――――。


 けれど、今のところ彼女の期待が実現しそうな兆しはない。
 それでも、モニカのエルネストへの想いは日々強くなる一方だった。


 国に対する熱い想い。
 誰よりも真面目で、困難な課題にも果敢に立ち向かっていく姿。
 融通がきかないところが玉に瑕だけれど、それだって高い理想を持っているからこそ。


 エルネストが好きだ。
 妃として、そんな彼を支えていきたい。
 モニカはずっとずっと、そう思ってきた。

 今だってその想いは変わらない。


 だったら、モニカがすべきことは一つだ。


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