断る――――前にもそう言ったはずだ
「モニカ様は、エルネスト殿下に側妃ができても良いと考えていらっしゃいます。
――――いいえ、寧ろ作って欲しいと考えていらっしゃるのではないでしょうか?
だって、妃としての務めを果たせていないんですもの。己の不甲斐なさに、さぞや苦しんでいらっしゃる筈です。
殿下も、モニカ様を気の毒だと思いませんか? 重責から解放してあげるべきだと思いませんか?」

「それは……」


 モニカが不妊に苦しんでいることは、エルネストが一番良く知っている。
 責任感の強い彼女のことだ。
 側妃を立ててでもエルネストの子を、と考えるのは想像に難くない。

 モニカを重責から解放すべきだという考えだって理解は出来る。
 しかし――――


「それに、モニカ様は今も御自身の寝室に、男性を連れ込んでいらっしゃるぐらいですし……」

「……は?」


 その夜一番の衝撃がエルネストを襲う。
 彼の心臓は今にも止まってしまいそうなほどバクバクと大きく鳴り響き、呼吸すらままならない。 


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