断る――――前にもそう言ったはずだ
「元々、妃殿下はこの部屋ではお休みになりませんからね。この時間帯に警備が手薄なのは当然です。他のエリアに移動させられたところで、騎士たちはなんの疑問も抱きませんし、助けになんて来ませんよ。
さあ、妃殿下。嫌なことは忘れてしまいましょう。仮初ではありますが、俺が男に愛される喜びを教えて差し上げますよ。エルネスト殿下では決して感じられない悦びをね」
「嫌よ」
エルネストの気持ちがどうであれ、モニカの想いは変わらない。
誰がなんと言おうと、モニカは彼の妃だ。
絶対、それだけは譲れない。
譲りたくない。
モニカがそう強く思ったその時だった。
「モニカ!」
背後の扉が勢いよく開く。
それから幾人もの騎士たちがやって来て、ヴィクトルを取り囲んだ。
「モニカ!」
誰かがモニカを抱き締める。
ふわりと香る慣れ親しんだ香り。振り向かなくても、それが誰かなんて分かる。
「エルネスト様……」
安心したせいだろうか。涙がポタポタと零れ落ちた。
エルネストの腕が宥めるようにモニカを撫でる。こんなふうに強く抱き締められるのは、はじめてのことだった。
「間に合って良かった……本当に良かった」
泣いているのだろうか。エルネストの声は小刻みに震えている。
モニカはそっと、彼の腕を抱き返した。
さあ、妃殿下。嫌なことは忘れてしまいましょう。仮初ではありますが、俺が男に愛される喜びを教えて差し上げますよ。エルネスト殿下では決して感じられない悦びをね」
「嫌よ」
エルネストの気持ちがどうであれ、モニカの想いは変わらない。
誰がなんと言おうと、モニカは彼の妃だ。
絶対、それだけは譲れない。
譲りたくない。
モニカがそう強く思ったその時だった。
「モニカ!」
背後の扉が勢いよく開く。
それから幾人もの騎士たちがやって来て、ヴィクトルを取り囲んだ。
「モニカ!」
誰かがモニカを抱き締める。
ふわりと香る慣れ親しんだ香り。振り向かなくても、それが誰かなんて分かる。
「エルネスト様……」
安心したせいだろうか。涙がポタポタと零れ落ちた。
エルネストの腕が宥めるようにモニカを撫でる。こんなふうに強く抱き締められるのは、はじめてのことだった。
「間に合って良かった……本当に良かった」
泣いているのだろうか。エルネストの声は小刻みに震えている。
モニカはそっと、彼の腕を抱き返した。