断る――――前にもそう言ったはずだ
「モニカを責めるのはやめろ。彼女は君を救おうとしたのに……」

「『モニカを責めるのはやめろ』ですって? ふふ……笑わせないでください。エルネスト殿下にだけは、そんなこと、言われたくありませんわ!
いつもいつも妃殿下に冷たい言葉を浴びせていたくせに! 憎しみのこもった瞳で睨んでいたくせに! 周りは当然、殿下が妃殿下を嫌っていると思うでしょう?
それなのに『僕はモニカを愛している』ですって⁉ そんなの、信じられる筈がないでしょう? 
成人した良い大人が相手が好きすぎて素直になれない? 馬鹿じゃありませんの⁉」

「貴様、口を慎め! 殿下に対して不敬だぞ!」


 コゼットの首筋に刃を当て、騎士たちが喚き立てる。
 けれど彼女は、ふっと不敵な笑みを浮かべた。


「お断りいたしますわ。どうせ私の命はここまでなのですから、最後に言いたいことを言わせていただきます。
大体、貴方方だって同罪でしょう? 殿下が妃殿下に冷たく接しているのを知っていて、皆が放置していたんですもの。
だからこそ、私のような人間につけいられるのです。成り代われると思わせるのです。
私、何か間違ったことを言っておりますでしょうか?」


< 81 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop