この先も、ずっと紺くんと一緒に
顔のあたりまで落ちてきた風船をうちわで仰ぐと、頭の遥か上まで舞い戻る。
みんなより一歩遅れてスタートしたわたし達は、急いで階段へと向かった。
けれど、風船を落とさないように移動するのは思いの外難しくて、なかなか前へと進めない。
それに、一番近道のルートには複数のペアがいて、気をつけないと接触して風船を落としてしまう。
「紺くんすみません。私が急がなかったせいで」
「大丈夫。まだ巻き返せるチャンスはあるから」
紺くんはそう言うと、みんなが階段を下りて行く中、ひとり足を止めた。
「紺くん?」
「初、この風船を1人で落とさずキープできる?」
「え?」
「学園長がルートは問わないって言ってただろ。わざわざ2回も。てことは、ここから下に風船を落としても、地面に着かなきゃセーフなんじゃない?」
そう言いながら窓の外を指差す紺くん。
つまり、どちらか一方がここで風船をキープし、その間にもう一方が1階へと下りる。
そして、上から風船を落とすということだ。