苺くんは、 蜜柑ちゃんを愛してやまない
「んー!!安定の美味しさだね!
やっぱ蜜柑ちゃんの玉子焼は、格別だね!」
食事中も、やっぱり満面の笑みの一虎。

「そう?ありがとう!
お弁当にも、玉子焼入れてるよ!」
「ほんと!?ありがとう!
フフ…楽しみ~!」

朝食が済み、蜜柑が片付けながら一虎に言う。
「一虎くん、準備しなきゃ!
仕事、遅れちゃうよ?」
「うん」

「私は、今日朝はゆっくりだからいいけど…」
「うん」

「………てか!一虎くん!!」
「んー?」

「離れて!!」
「えーーー!!」

一虎は━━━━洗い物をしている蜜柑に、後ろから抱きつき頬をすり寄せていた。

「一虎くん!!」
「………わかった…」
肩を落とし(振り)ダイニングを出た、一虎。

クローゼットを開け、スーツに着替える。
テキパキと支度をし、身だしなみを整え、ネクタイを持ってダイニングに戻った。

「蜜柑ちゃーん!ネクタイしめてー?」
「準備するの、早っ!!
……………ちょ…ちょっと待って!
今、バタバタしてるから、今日は自分で……」

「えー!!やだー!して?」

(一虎くん、か、可愛い…/////)

「うー////わかった」
パタパタ…と一虎に寄って、ソファに座った一虎の足の間に入りネクタイをしめる。

真剣にネクタイをしめる蜜柑の腰を包み込むように抱き、愛おしそうにただジッと見つめる。
ある意味、息をするのも忘れるくらいに。

「………はい!出来……た!」
「ん!ありがとう!」
頭を撫でる、一虎。

「……/////」
「ん?蜜柑ちゃん?」
ネクタイをしめていた為、顔が“かなり”近い二人。
蜜柑は間近にある一虎の顔を見て、照れて顔を赤くする。

「か、顔…////」
「うん」
「ち、近…////」

「うん!キスとかしちゃう?(笑)」
「キス…しちゃいたい////」

「フフ…ほんっと、可愛い////」
そう言って一虎は、蜜柑の後頭部を支え軽く押した。
二人の口唇が重なった。


玄関先で、一虎を見送る蜜柑。
「一虎くん、行ってらっしゃい!」

「あー!行きたくなーい!
蜜柑ちゃん、ギュッてしよ?」
「うん」

両手を広げる一虎に、抱きつく。
「はぁ…幸せ…」
「うん…」

「離れたくないね…」
「うん…」

「会社に一緒に来る?」
「うん…」

「来てくれるの?(笑)」
「うん…」

「………」
「……ん?あ、いや、だ、ダメだよ!!
碧馬(あおば)さん(一虎の共同経営者)に、怒られちゃうよ?」

「大丈夫だよ!碧馬なら!」
「でも、ダメ!」

「フフ…行ってくるね!」
バッと離れ言った蜜柑に、一虎はクスクス笑いキスをして出ていくのだった。
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