苺くんは、 蜜柑ちゃんを愛してやまない
「蜜柑ちゃんに出逢うまで、色んな女と手当たり次第ヤってたな。
秘書課の子とか、受付の子とか」

「クズだなぁー(笑)相変わらず…
…………てことは、君達の中にも?」

祥生が、斎川達秘書を見る。
「あ…まぁ……」
「私も…セフレみたいな感じでした…
入社してすぐの時だったかな?」

「スッゴい会社だな(笑)」
祥生が苦笑いし、ハイボールを飲んだ。

「だよな(笑)」
碧馬も、クスクス笑う。

「なんか、そんな奴の会社なのに、スッゴい業績がいいって……世も末だなぁ(笑)」
祥生の言葉に、他の社員も頷く。

「てか!俺は、誘われたから断らなかっただけ。
お互いが合意の上だから、誰も文句言えないよ?」

「なんか…」
「それ…」
祥生の同僚達が、呆れている。

「ほんと、クズだよな(笑)」
祥生がクスクス笑う。
そして、続けて言った。
「奥さんにも、元々は誘われたの?」

「いや、俺が誘った。
自分から誘ったのは、蜜柑ちゃんだけ」

「そういやぁ、そうだな(笑)
イチ、蜜柑ちゃんにはずっと手を出せなかったもんなぁー(笑)
一年半も、見てただけだもんなぁー(笑)
女の誘いも、一切受けなくなったし」

「うん。どう声かけていいかわからなくて。
嫌われたら、嫌じゃん!
たまたまあの雨の日に話すことができたから、頑張った口説いたの」

「へぇー!
その“蜜柑ちゃん”に会ってみたいな!
つか、蜜柑ちゃんってあだ名?」

「いや、本名が“蜜柑”」

「マジか!?
苺と蜜柑だな(笑)
果物夫婦だ(笑)」

「フフ…可愛いでしょ?
蜜柑ちゃん、可愛いんだよなぁー!
はぁ…会いたくなってきた……!」

一虎はビールをグイッと飲み干し、煙草を咥えた。



飲み会も中盤に差し掛かった頃━━━━━━

突然、ガラッと一虎達の個室が開いた。
「あれ~?ここ、違うじゃーん!
間違え━━━━━あれ?
あーーー!!?
苺と馬がいるーーー!!!」

なんと、大夜が間違ってドアを開けたのだ。

「「あ、大夜だ」」
と、一虎と碧馬。

「ここで飲んでんの?」

「は?」

「だって、蜜柑が言ってたから。
今日は、一虎くんがいなくて寂しいって」

「そりゃそうだろうな。
俺と蜜柑ちゃんは、相思相愛なんだから!
よし!碧馬!
もう、いいよね?
俺、帰る!
蜜柑ちゃんを迎えに行って、帰んなきゃ!」

「えー!もう少しいいじゃん!」
「そうだよ、一虎。
久しぶりに会えたのに!」

「やだ。蜜柑ちゃんが寂しがってんだから!」

「………楽しそうだけどな、蜜柑」
一虎達の言い合いを聞きながら、大夜がポツリと言う。

「え━━━━━」
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