苺くんは、 蜜柑ちゃんを愛してやまない
「………蜜柑…ちゃ…」
「ん?
━━━━━え!!?一虎くん!?なんか、顔色が…!?」

「気分悪い…帰ろ?」
蜜柑に、身体をすり寄せ甘える。

「うん、そうだね。
ごめんなさい!私達、帰ります!」
蜜柑は慌てて財布から万札を出し、莉帆に渡す。

「足りなかったら、また学校で会った時に払うね」

そう言って、一虎を支えるようにして居酒屋を出たのだった。

一虎が、見えないところでにやついていることも知らずに━━━━━


「……ったく…ほんと、クズだな(笑)」
「だな(笑)
嫉妬してるの、バレバレ…(笑)」
苦笑いの碧馬と祥生。

「なんか…大人気ねぇ、おっさんだな…(笑)」
「スパダリじゃなかった、一虎さん…(笑)」
大夜と莉帆も、苦笑いをするのだった。

「「「「蜜柑(ちゃん)…大変だな(笑)」」」」



「一虎くん、タクシー呼ぶね!」
「大丈夫だよ。
外の空気吸ってると、なんか楽になってきたから」

「ほんと?無理しないで?」
「ほんとだよ!」

「じゃあ…ゆっくり、歩いて帰ろうか?」
「うん、そうだね!」

指を絡めて手を繋ぎ、ゆっくり家路を歩く。

「━━━━━でも、びっくりしちゃった!」
「ん?」

「まさか!一虎くんが、隣にいたなんて!」
「俺も」

「だよね(笑)」
「まさか、俺に黙って居酒屋に来てたなんて!
それ以前に、莉帆ちゃん以外の…しかも、男と外食してたなんて!」

「あ…ご、ごめんね!」
「もう、ダメだよ?」

「うん。次からは、一虎くんに連絡するね」

「━━━━そうじゃねぇよ…」

「え?一虎…くん…?」

ピタッと一虎が、歩みを止めた。
そして、蜜柑を見据えた。


「………蜜柑ちゃん」

「え?」
(な、なんか…一虎くん…怖い…)


「今だけ“理想の男”お休みしていいかな?」


「え?」

「俺本来の、篠原 一虎になっていい?」

「あ、う、うん…」

「ん。
━━━━━蜜柑」

「え、え……!?」

「蜜柑は、誰のモノ?」

「え?え?」

「蜜柑は“俺の嫁さん”
わかるよな?」

「うん」

「だからな。
できる限り、俺以外の男に会っちゃダメ!
大学でなら、わかるよ?
でも、プライベートまで会っちゃダメだ!
蜜柑は、俺の可愛い、可愛い嫁さんなんだから!
わかるよな?蜜柑」
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