苺くんは、 蜜柑ちゃんを愛してやまない
「…………一虎くん?」

「んー?もう少し、ギュッてしたいなって!
蜜柑ちゃんを後ろから抱き締めるのも、好き~」
「うん」

「…………夕食、どのくらいできてるの?」
「え?
あ、ごめん。ほとんどできてないの……」

「じゃあ…外食しようか?」
「え?」

「ロールケーキは、帰って食べよ?」
「うん。いいよ」

「よし!着替えよ?
俺に蜜柑ちゃんの着る服決めさせて~!」
「うん」


「━━━━蜜柑ちゃん、この指どうしたの?
今朝は、カットバン貼ってなかったよね?」
クローゼットに移動し、一虎が選んだ服に着替えている蜜柑。

一虎も着替えながら、蜜柑の手を優しく取った。

「蜜柑柄のお皿、割っちゃって……」
「あー、蜜柑ちゃんのお気に入りの?」
「うん。手が、滑ったの。
片付けてたら、破片で切っちゃって…」

「そっか…
痛い?」
「ううん!大丈夫!」

「痛いの痛いの飛んでいけー!ってしようか?(笑)」
「フフ…大丈夫だよ!(笑)ありがとう!」

「えー!俺のまじないは、結構効くよ?
まぁ、蜜柑ちゃん限定だけど!(笑)」
カットバンの上から軽くキスをして言う。

「そうなの?(笑)
フッ…フフフ……」
少し噴き出して、クスクス笑う。

「………やっと…笑ってくれた……!」
一虎が優しく、見下ろしていた。

「え……?
私、さっきから笑ってるよ?」

「俺が言ってるのは、表情のことじゃないよ。
蜜柑ちゃんが、心から笑ってなかったのわかるんだよ?
俺は蜜柑ちゃんが、好きで、好きで、好きで堪らないんだから。
蜜柑ちゃんが、無理してるかどうかなんてすぐにわかる」
見据えて、はっきりとした口調で言う一虎。

「あ…」
思わず、蜜柑が視線を逸らした。

「話せるようになったら、聞かせて?」
「え?」
一虎を見上げた。

「無理矢理、聞いたりしない。
でも、聞かせてくれるなら、いつでも何時間でも聞くからね!」
一虎は、優しく微笑んでいた。


蜜柑のお気に入りのオムライス専門店に向かう。

「━━━━━どれにしようか?
いつもみたいに、蜜柑ちゃんの食べたい二種類を頼んで、半分ずつ食べようね~!」
メニューを蜜柑に見せながら、微笑む一虎。

二人が外食した時は“必ず”一虎は、蜜柑に食べたい物を二つ決めさせて、それを半分ずつシェアして食べるのだ。

「どれにする~?」
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