Cherry Blossoms〜難解なカルテ〜
桜士はエスカレーターに乗り、三階へと向かう。三階にあるのは映画館や眼科、子ども服屋などがある。そこも平日とはいえ、人で賑わっていた。

買い物客を装いながら、怪しい人物がいないか、不審物がないか、目を鋭くしながら見て行く。

「早く早く、映画始まっちゃう!」

「姉さん?今、イオンモールいるんだけど何かほしいものある?陽菜(ひな)に似合いそうな服があったんだけど、プレゼントしていい?」

「お腹空いたね。フードコートで何か食べる?」

「コーヒーショップ寄ってきたい!期間限定のフラペチーノ飲みたいんだ!」

買い物や映画などを楽しむ人たちの声が、桜士の耳に入り込んでくる。もしも爆弾が爆発してしまったら、ここにいる人たちの笑顔は一瞬で命もろとも奪われてしまう。何としてでも、爆弾と爆弾を仕掛けたであろうCerberusの構成員を捕らえなくてはならない。

(クソッ!一体どこに仕掛けたんだ……)

心の内側は捜査に進展がないことに焦りを感じている。だが、それを表情に出すことはなく桜士はチラチラと辺りを見ていた。
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