Cherry Blossoms〜難解なカルテ〜
(俺、生まれてきてよかったのかな……)

ザワザワと風で木の枝が揺れていく。それをボウッとアルフレッドが見ていると、「大丈夫ですか?」とアジア人の少女が顔を覗き込んできた。

「うわぁッ!?君、誰?」

アルフレッドは驚き、目の前の少女を見つめる。白いワンピースに桜の髪飾りをつけ、毛先だけをピンクに染めた長い髪をした少女はニコリと笑う。どう見ても十歳ほどにしか見えない。

「初めまして、私は四月一日一花です。来年ここの医学部に通うことになったので、見学をさせてもらっていました」

「えっ、君いくつ?東洋人は若く見えるって聞いたことあるけど……」

「来年で十一歳になります」

「はあ!?」

予想以上の若さにアルフレッドは驚き、ポカンと口を開けてしまう。こんな子どもが医学部に入学など、信じられない。まだ体もそれほど発達していない年頃だ。

「君、家族は?ここに一人で来たのかい?どこ出身なの?」

気になることが山ほどあり、アルフレッドは問いただすように言う。一花はその様子を見て、クスクスと笑った。
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