ベタに、切って
「ネットで調べたんだけどすごいらしいよ。悪縁の断ち切り方が」
「へえ」
「なんでも日本三大怨霊が祀られてるし」
「へえ」
「カナコは恨みとかないの?」
誰とは言わないけど、何のこととも言わないけど、核心を聞いてしまうのはキミエらしくて少し笑った。
知り合って三年、付き合って二年。今はぽっかり穴が空いたみたいで、恨みより虚しさが勝っている。
「今は、なんにも整理できなくて。だから恨んでいるのかもわからなくて。一緒に過ごして残していったものさえも手を付けれてないから多分悲しいんだと思う」
ケンイチと隣に写っていたのは私よりも活発そうで勝気そうな女性だった。少し明るめの髪色に釣りあがった眉毛が私と対照的だ。私は真っ暗な髪色で、どちらかというと平行眉で化粧も薄目だ。
私といるときのケンイチは男性としてリードし、亭主関白なようなふるまいをしていたが、一緒に写っていた女性との写真を見ると、尻にしかれてそうな眉を釣り下げて笑っていて、全然違う人のようだった。