チャット恋愛注意報!! 〜フジヤマ過去編〜
「……また会えるといいな……」
20歳の女子大生、YUKI。
実際は年齢も性別も偽ってるかもしれないけれど、それでもYUKIは良い奴だった。
俺のアホみたいなノリに間髪入れずに乗っかってくれる奴なんて、そうそう居ない。
むしろ常に乗っかってくれてたのは、過去にはユキしか居なかった。
他にもノリの良い奴は居たけれど、フィーリングが合うなって思ったのはユキだけで。
だからこそ俺はユキのことを誰よりも気に入っていたし、常に気になってたし、恋愛感情を抱くようになっていたんだ。
そして今は、彼女とよく似た雰囲気のYUKIに対して心が揺れている。
数分話しただけなのに、心臓を鷲掴みにされてしまったんだ。
欲しいところに欲しい言葉が来る。
無数に散らばったパズルのピースが、たった1回でピッタリとハマる。
その感覚に、高揚しないわけがない。
「……YUKIはユキじゃない。 って、わかってんだけどな……」
同じ名前だから、どうしても重ねて見てしまう。
違う名前だったのなら、ちゃんと「他人」として見ることが出来たんだろうなって思う。
フィーリングが合う一人の女性として、好意を持つことが出来たはずなのに。
「……あーもうマジで、なんで同じ名前なんだよー……」
心が揺れる。
勝手に、一人で自分勝手に。
ユキを忘れることが出来ない俺の前にYUKIが現れるなんて、運命だろ。 って、思ってしまうじゃないか。