勉強は恋のキューピッド。

テストを前にすれ違い

『定期テスト 1年生

 日付:6月15日
 教科:国語、数学、理科、社会(歴史)、英語
 

 ※尚、テストでそれぞれ30点以下の点数を取った人は赤点として、補習をする※』


「「はぁ〜〜〜っ」」


定期テストのお知らせのプリントを見た私達は深いため息をついた。


あの『THE・MIRA&KANA決戦』から数日後、そして定期テストまで後5日。


私は“夜咲彼方の勉強”について悩んでいた。


彼方の頭は悪すぎる!


自由時間返せー! (前もこんなことあったような……?)
 

でも……。



彼方と過ごす内に、いつのまにか彼方のことが気になってきたの。


これが、“好き”って気持ちなのかな?


彼方は、私の事をどう思っているんだろ?


何で、彼方は、私の初恋の人なの?


彼方以外に良い人は?


何で、頭悪い、私とは正反対の彼方が初恋の人なの?


……もう!








「彼方のアホー!!」


「えっ……? ホ、ホント、それ………?未来さん…?」


「あ、あ! 彼方! ちょうどいいとこに! 本当だよー! だから……ッ」
























「分かるよ、未来の言いそうな事は。“勉強をもう教えたくない”でしょ?うん、分かった。もう、これからは俺1人で頑張るね。今までありがとう。来年から………、


















 俺、普通科に転科するね」

















は……?


何でそうなるの……?


私、そんな事言おうとしたんじゃないよ?!


本当は、「あ、彼方! 本当だよ、彼方が好きすぎて自分がアホだと思っていたのはー! だから、これからもよろしくね! 夏休みも楽しもうねー!」だよ。誤解しないで!


どうしよう。来年から彼方が普通科に行っちゃって私と過ごせなくなったら!


「彼方、違うの。誤解しないで!」


「今更訂正しても意味ないって。じゃあ、さっき大声で言ってたのは何だったの? あれは嘘なの?」


「うん。そうだよ、さっき話したことは全部嘘だよ! ごめん! だから、普通科に行かないで! お願い!」


「さっきは本当って言って、今は嘘って言って。意味分かんないよ。俺、未来を信じていいのか分からない。本当はテスト、未来が今まで勉強教えてくれたから、それのの恩返しするために赤点取らないように頑張ろうとした。でも、未来が嘘つくから、俺、未来のことが信用できなくなった。だから、赤点取っても良いと思った。じゃあね、今までありがとう」


「彼方!」


どうしよう、どうしよう、どうしよう! 


私は彼方を止めようと足を引っ張って転ばせてしまった。


じゃあ手を引っ張ろう! と思って手を取ろうとしたらパチンと振り払われてしまった。


(ああ、どんどん彼方が玄関に遠ざかって行く……。このままでいいの? このままギクシャクしたままお別れしちゃうの?)





いや、いいわけない!


私は決めた。


このテストで5教科全部で80点以上取れたら彼方に告白する!
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