約束された血の匂い

その10

約束された血の匂い/その10
麻衣



それから二日後、真樹子さんから再び電話があり、明日、浅土道也と久美を引合せることになったんだって

真樹子さん立会いの下、異例の”お見合い”はうまくいくだろう(笑)

準備は整った


...



倉橋さんからも連絡があった

今週の金曜日に”実行”とのことだ

例の廃工場で…

去年の春、相和会の人間でもないくせに、かわいい高1の子をレ○プし、けがらわしい白い液体をその床に晒した男

今度は同じ自分の体から、真っ赤な液体を献上することになる

その流す量は、前回の白いものをはるかに超える

間違いなく…


...



「私も当然立会うわ。何時?」

「ダメだ。お前は来るな。二十歳にも満たない女が見るもんじゃない」

「…」

倉橋さん、いや優輔さんの愛情は感じる

でも、そういう訳にはいかない

このケジメは、相和会幹部の倉橋さんと同じくらい、私が大きく関わったんだもの

「とにかく、現地には連れてって。今のあなたからもらった私への思いやり、もう一度考えてみる。でも、結論は私が出すから。私の気持ちが変わらなかったら、もう一度説得してみて。じゃあ、時間教えてくれる?」

「…、たぶん6時過ぎってとこだ。また連絡する」

「ええ、お願い。ちなみに道具は音の出る方を使うの?」

電話の意向こうで一瞬、間があったが、”意味”は通じたようだ

「そうだ。今回は”そっち”になる。単なるケジメをつける儀式じゃなく裁きの場になるんだ。いいか、それはマトだけでなく、手を下す方も見届ける人間にとっても、全く違う決着なんだよ。わかるよな?」

「わかるわ…」

私はそれだけの言葉で答えた

武士で言えば、儀式なら切腹、裁きなら拷問の上斬首よ








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