約束された血の匂い

その6

約束された血の匂い/その6
麻衣



「おい、アツシさんよ!私は確かに相和会から援助、切られたよ。もうアンタにとっちゃ、ただのガキだ。ならここで、潰してみろよ。かかって来いって!来なきゃ、行くぜ、ぶっ殺す!」

私はそう言った後、ポケットから特製のメリケンサックを取り出し、右手にはめたよ

「このクソが!逆髪様の前ではらわたさし出してやる!来い、コラー!」

「ああ…、麻衣さん。あのさ、何もそこまで怒んなくてもいいじゃん。久美からは聞いてるから…。別れる。承諾するよ。だから、やめようや、殺し合いなんて物騒なこと…」

コイツ、ある意味、話が早い…







...



「よし。だがよう、久美と別れるってのは金輪際、近寄らないと命かけて宣誓ってことじゃないとな。信じられない。どうだよ?」

「ああ、宣誓する。命にかけて…」

言ったな、この野郎…

「わかった。今の宣誓、その胸のバッジに吐いたってことで理解した。いいんだな?」

「あ?ああ、それでいい…」

「なら、もし、今の言葉、反故にするようなマネしたら血を見るよ。相和会のバック外れた今の私が何言ってんだ、コイツと思ってたら、ケガするぞ。”今度”こそ…」

アツシはまたもやニヤケて頷いてた

この時の私をヤツが恐れたのは、クスリでイカレた手に負えない凶暴な女ってことで、相和会の力を使えない私なんか、舐めきっていただろうね

ふん、アホが!


...



久美は確かにアツシと別れた

アイツはサッパリした性格だから、割とスンナリだったよ

ところが…

ほどなくして”情報”が入った

”深海魚”の電波にひっかかって、それが私のもとに届いてね

砂垣がアツシに、久美とヨリを戻させる計らいを企てていると…

そして、巧妙に接触を持ちかけたと…

手口は”褒め殺し”…

まあ、久美あたりには効果てきめんではある

私は早速、”手”を講じた






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