美しく小さき光

あの日。

「っ、ぅっ、…!」

どうして沙那がこんな事に。

気がついたら暗い雰囲気が漂う体育館裏に
ひとり、しゃがみこんでいた。

「大丈夫?どうしたの?」

優しい笑顔で声をかける彼は見覚えのある、
美しく整った顔だった。

誰だっけ。

あぁ、思い出した。
学校案内のパンフレットを撮影した時に一緒だった遥木だ。

それより返事しないと。

「あ、大丈夫。心配ありがとう。」

すると彼は、

「あれ、白城さんだ。とりあえず校舎戻ろう。」

と、言って私の手を引いた。

すかさず私は、
「わたし教室戻りたくない、っ」と。

ってなんで私の手を引いてるのよ。
私はあなたの彼女でもなんでもないわ。
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