美しく小さき光
私の反応を見た彼は
「じゃあ5階の特別室に行こ。着くまでは俺の腕の中にいて、顔を隠して。」

と、私をお姫様抱っこした。

え、なになに、これじゃあまるでカップルみたいじゃん。

でも不思議と嫌気はさしてこなかった。
代わりに、頭が真っ白になった。

目を開いてもあるのは遥木のブレザーの裾。
ふわっと香るボディーミストの匂い。これはCKANELのやつだったな。遥木はこんなハイブラなやつつけてるんだ。

予鈴が鳴った。

平静を装って、彼の腕の中で話しかけた。

「遥木。慰めてくれてありがとう。もう予鈴なっちゃったから授業戻ってきて大丈夫だよ。」

今から戻れば本鈴には間に合うし、遥木まで遅刻させる訳にはいかない。

すると、思わぬ言葉が降ってきた。

「俺は大丈夫だし、泣いてる白城さんを放っておけない。」

え、そんな、申し訳ない。
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