ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
その4
真樹子&麻衣



「うおお…!」

麻衣さんはそのまま津波を立ち上がらせ、絞首刑状態で再び倉庫内になぎ倒した

そしてまた津波を立たせた態勢で、素早く背後に回って…

津波の左腕を奴の首に巻きつけて、締め上げてるわ

一種の裸締めって技だろうか…

「このままぶっ殺しても構わねえぞ、こっちは!どうだ、てめえ、死ぬか、このまま」

何とも凄まじい限りで、私は立ち尽くしてるよ…

「…、わかった。参った…」

「よし…」

終わったわ…

麻衣さんの完全KO勝ちだ…、凄すぎだろ、これ

二人は、もう、泥まみれになった倉庫の床に大の字だ…

闘いが終わって、先程まで、耳に入らなかった激しい雨音がまた廃倉庫内に響き渡ってるよ


***


はあ、はあ、はあ…

何とか勝ったぞ!

それにしても、凄い腕っぷしだった

ケリとかパンチ、半端じゃなかったし

まあ、先に飛ばさせて、スタミナに難があるのが分かったから、
あの重い攻撃を耐えた甲斐があったな

そのあと、倉庫往復のダッシュ攻撃に切り替えたのが効いたようだ

あれで、ヤツはスタミナ切れだったし

まあ、手強い相手だったが、これでヤツ、どう出るかな…


***


激闘から10分ほどして、私ら二人は少し落ち着いた

真樹子さんが近くの自販機で飲み物を買ってきてくれたが、私たちは一気飲みだった(笑)

「額の傷、大丈夫か?」

「はは、切れてはないよ。えらいいコブだけど(笑)」

「そうか…。それでさ、アンタの気持ちは後で聞くが、今日の私の”面接”結果を言うよ。ぜひ、それなりの”待遇”で雇いたい。どうだ?」

「…。わかった。アンタに一任するよ。負けたけど、別にそっちに他意はないさ。しかし、おたく、なんてケンカ強いんだ。びっくりしたよ」

「いや、こっちも必死だった。だけど、覚えていてほしい。私はいつも死ぬ気でやってる。本気だ」

「ああ、闘ってて伝わったよ。まあ、よろしくね。自分でもクセが強いのは自覚してるけど、武骨もんなんで」

「うん。承知だ。で、杓子定規だろうけど、この真樹子さんは、私にとっては特別な存在なんだ。先輩だし、礼は尽くしてもらいたい。いいか?」

「わかってる。岩本さん、さきほどは失礼な態度ですいませんでした。あなたの名前は以前から承知してましたよ。有名人ですもんね、ハハ…。今後はよろしくお願いしますね」

「ああ、こちらこそよろしくね。ハハ…」

「じゃあ、今日はざっと話しとくけど、アンタには、”レッド・ドッグス”の幹部でやってもらいたい。まずはね。ただ、今のメンバーの手前もあるんで、そのポストは今日と同じで、力づくで得てほしいんだ」

「えっ…、いいのか?アンタの仲間とやって」

「ああ、事前の舞台つくりはやっとくから。相馬会長の伊豆の別荘で、近々集会を開く予定だから来てくれ。そこで、”ある”幹部メンバーとタイマンだ、全員の前で…」

「…。まあ、そういうことなら、行くよ。いつだい?」

「近く連絡する。とにかく、アンタみたいな強者が入ってくれれば心強いよ。頼むな」

「了解だ。じゃあ、連絡待ってるよ」

よし…、これで、かなり布陣が整ってきたな

このあと、私は真樹子さんが買ってきてくれた、”昼食”をいただくことにした




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