ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
その68
砂垣



ふう…

何とか、それらしく麻衣にバグジーをセッティングできたぞ

全く…、汗かいちゃったよ

あの店、そんなに暑くなかったのにな

いやぁ…、麻衣と話すのは疲れるわ、やっぱり

いまだにあの目でじっとやられると、こっちの心の中が全部見透かされてるようでな…

いや、実際こっちの心の内は読み取られているんだろう

じゃあ、今日、バグジーを強く推した件も…


...



実は、麻衣へのガードは、バグジーから申し出によるものだったんだ

これからの麻衣は、大打から狙われる、極めて危険なフィールドに立つことになる

バグジーは、かなりの確率で麻衣にはヒットしてくると予測していた

第一、大打から直接、未成年の少女へのヒットを遠回しに打診されたってんだからよう…

さすがの麻衣にもこんなこと、今日は面と向かって言えなかったわ


...



それにしても…

相和会の麻衣へのセキュリティーは分かる

それなりのガードをつけてるってのも…

麻衣は濁していたが、おそらく、組はそれなりのプロを投じてると思うよ

今や相和会サイドにとっては、麻衣は大事な人物だろうしな

それは、”いろんな”面で…

だが、大打は手段を選ばない

いつどこで、誰を使って手を仕向けてくるか…

想定不能と言っていい


...



ただ一つ…、坂内さんの同意を得ずで、実行に移すことはない

これだけが救いなんだが…

なんといっても、あの”世界”は、お互いの損得勘定がマッチした時、何が起こっても不思議はないんだ

そして、それは…、誰も気が付かないところで、静かに決定されるんだ

長くイレギュラー・ポジション身を置いていた、風見鶏の俺だからこそ妙に感じるものがある

怪しい蠢き

そんな兆しが…






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