ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
その23
狂気のシンパシーが投じたもの②
しばらく間を置いてから、ノボルの前に武次郎がタカハシと椎名の進言を受けた見解を述べた。
「兄貴…、本郷麻衣はアンタを引っ張り出そうとする腹が見えてる。だからこそ、チーム大打のトップである兄貴には、ここで堂々と真向であの娘と向き合ってもらいたいってのがオレの本心だよ。だがよう…、御手洗の件を踏まえれば、敵の女軍団は麻衣を除けばただのじゃじゃ馬娘程度と捉えていた、俺たちの事前想定は覆ったと言える。こはが、ここの4人共通の認識だろ?」
ここでようやく大打ノボルが口を開く…。
…
「御手洗が南玉の女どもに歯ぎしり状態だったってのは、お前たち3人と同じ見解だよ。あのバグジーとサシで戦い、ヤツの心まで奪った津波って女は、オレたちにとて麻衣の同等に近い油断ならぬ猛る女だと、承知してるてるさ。その上でだ!」
ノボルはここで一気にテンションがアップした。
「…そりゃあ、セオリー通りで行けば、本郷麻衣とのファーストコンタクトが極めて慎重を要すっるってことは十分理解してる。少なくとも、麻衣と撲殺男の婚約披露が済むまでは、この武次郎で留めるべきとな。その前提だったしな。今タカハシが言った、この4人での取り決めではは…。だがよう…、まずはだ、オレが麻衣への接触を温存してる間、ヤツがなにをやらかしてきたか、しっかり思い浮かべてみろって!」
「…」
これには、椎名とタカハシも神妙な面持ちでやや俯いてしまった。
「…自分へのお誘いでは足蹴にした星流会のトップへは、”生爪”をプレゼントしておちょくったのを皮切りにだ、東龍会が目をつけていたネタ元の旧建田組のチンピラを拷問した実況テープは東龍会をはじめ、”各所”へ宅配だったぜ」
「…」
「…しかも、”ナマ指”はとりたての新鮮なパック状態で、ご丁寧にココのビルへ送りつけてきやがった‼…前日に面と向かってケンカを吹っ掛けた武次郎宛でな。それどころか、そいつらと通じてたガキルートから、東龍会の”走りっ端”を洗いだし、バグジーを従えての締め上げだ。それ、ジャッカル・ニャンに乗り込んできた、その日に挙行したんだぞ‼」
ノボルの顔はほのかに紅潮していた。
これは、同席している3人の知るところでは、極めて珍しいコトだった。
...
「…麻衣を通じて、こっちサイドの仕込みネタは、もう相和会に知られてるだろうよ。ヤツはこの国を動かす広域ヤクザとの情報戦でも”ど真ん中”にいるんだ。既にな!…いいか、オレたちとの対峙に限定すれば、その主導はあくまで本郷麻衣であって、ヤツは倉橋さんや剣崎さんら相和会の指示通り動いてる人形って訳じゃあないんだよ‼」
「ノボルさん…‼」
思わずそう声を漏らしたタカハシは、その視線を同郷の竹馬の友、椎名へ送っていた…。
「…オレはこれまでも、タカハシから麻衣に関してはこと細かく聞いてるし、武次郎とのやり合いの様子も報告を受けた。こうなりゃあ、今の時点まで来てんだ。直接麻衣本人と面通ししなきゃあ、それこそ耳年増になっちまうって!相手はただのセブンティーンじゃんねーってことを、お前らも今一度、肝に銘じて欲しい…!」
ノボルにしてはやけに熱弁調になっていたせいか、他の3人はやや戸惑いの様子を隠せなかった…。
だが…。
”うん…、ここまで麻衣がフル回転の現状を鑑みれば、ノボルさんには生の麻衣を今ここで見てもらうことも、トータルで考えればならないかもな…”
椎名は頭の中でそんな思いに至っていたのだが…。
狂気のシンパシーが投じたもの②
しばらく間を置いてから、ノボルの前に武次郎がタカハシと椎名の進言を受けた見解を述べた。
「兄貴…、本郷麻衣はアンタを引っ張り出そうとする腹が見えてる。だからこそ、チーム大打のトップである兄貴には、ここで堂々と真向であの娘と向き合ってもらいたいってのがオレの本心だよ。だがよう…、御手洗の件を踏まえれば、敵の女軍団は麻衣を除けばただのじゃじゃ馬娘程度と捉えていた、俺たちの事前想定は覆ったと言える。こはが、ここの4人共通の認識だろ?」
ここでようやく大打ノボルが口を開く…。
…
「御手洗が南玉の女どもに歯ぎしり状態だったってのは、お前たち3人と同じ見解だよ。あのバグジーとサシで戦い、ヤツの心まで奪った津波って女は、オレたちにとて麻衣の同等に近い油断ならぬ猛る女だと、承知してるてるさ。その上でだ!」
ノボルはここで一気にテンションがアップした。
「…そりゃあ、セオリー通りで行けば、本郷麻衣とのファーストコンタクトが極めて慎重を要すっるってことは十分理解してる。少なくとも、麻衣と撲殺男の婚約披露が済むまでは、この武次郎で留めるべきとな。その前提だったしな。今タカハシが言った、この4人での取り決めではは…。だがよう…、まずはだ、オレが麻衣への接触を温存してる間、ヤツがなにをやらかしてきたか、しっかり思い浮かべてみろって!」
「…」
これには、椎名とタカハシも神妙な面持ちでやや俯いてしまった。
「…自分へのお誘いでは足蹴にした星流会のトップへは、”生爪”をプレゼントしておちょくったのを皮切りにだ、東龍会が目をつけていたネタ元の旧建田組のチンピラを拷問した実況テープは東龍会をはじめ、”各所”へ宅配だったぜ」
「…」
「…しかも、”ナマ指”はとりたての新鮮なパック状態で、ご丁寧にココのビルへ送りつけてきやがった‼…前日に面と向かってケンカを吹っ掛けた武次郎宛でな。それどころか、そいつらと通じてたガキルートから、東龍会の”走りっ端”を洗いだし、バグジーを従えての締め上げだ。それ、ジャッカル・ニャンに乗り込んできた、その日に挙行したんだぞ‼」
ノボルの顔はほのかに紅潮していた。
これは、同席している3人の知るところでは、極めて珍しいコトだった。
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「…麻衣を通じて、こっちサイドの仕込みネタは、もう相和会に知られてるだろうよ。ヤツはこの国を動かす広域ヤクザとの情報戦でも”ど真ん中”にいるんだ。既にな!…いいか、オレたちとの対峙に限定すれば、その主導はあくまで本郷麻衣であって、ヤツは倉橋さんや剣崎さんら相和会の指示通り動いてる人形って訳じゃあないんだよ‼」
「ノボルさん…‼」
思わずそう声を漏らしたタカハシは、その視線を同郷の竹馬の友、椎名へ送っていた…。
「…オレはこれまでも、タカハシから麻衣に関してはこと細かく聞いてるし、武次郎とのやり合いの様子も報告を受けた。こうなりゃあ、今の時点まで来てんだ。直接麻衣本人と面通ししなきゃあ、それこそ耳年増になっちまうって!相手はただのセブンティーンじゃんねーってことを、お前らも今一度、肝に銘じて欲しい…!」
ノボルにしてはやけに熱弁調になっていたせいか、他の3人はやや戸惑いの様子を隠せなかった…。
だが…。
”うん…、ここまで麻衣がフル回転の現状を鑑みれば、ノボルさんには生の麻衣を今ここで見てもらうことも、トータルで考えればならないかもな…”
椎名は頭の中でそんな思いに至っていたのだが…。