ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
その9
ケイコ
「…皆さんご存じの通り、私は去年の夏、火の玉川原で麻衣と殺し合い寸前まで戦いました。それ以降、麻衣とはこの南玉連合内でも真正面でぶつかり合ってきました。それは”すべて”の面で…。麻衣が相和会の会長と取り交わした”約束”も、私だってやってやる!そう言うことも含めてです」
とうとう、”ここまで”言ってしまった…
みんなの前で
「その結果が、この夏の薬物での逮捕につながった訳ですが、正直、個人的には麻衣のことは、死んでも許せないって感情を持っています。でも、麻衣は自分の欲得で動く人間ではないんです。ただ心の奥底に宿す、本当の自分に忠実に生きてるだけなんです」
みんなの視線に、これほど身を突かれる感覚は初めてだ
...
「…ここにいる全員が、麻衣とはいろんな係りがあったと思います。その結果、恨む者もいれば、逆に感謝する者もいる。麻衣は決して人には媚びず、許せないものは決して許さない。これは他人だけにではなく、自分に対してもなんです。そのゆるぎない決意を持って、日々、生きているんです」
会場内はシーンと静まりかえっている
自分の言葉だけが耳に届くってのも、なんか異様だ
「私は麻衣と出会ったことで、結果的に薬物で警察沙汰を起こし、高校は退学処分になり、家を出ることになりました。逆に、祥子は麻衣と出会って、思いっきり一対一で戦った末、麻衣とは心を通じて南玉に入り、ダブって休学中だった都内の高校から埼玉校に移りました。結果として、まじめに通ってると聞いています」
ここで、会場内に笑いがこぼれた
...
「久美は大河原高校で麻衣と知り合わなければ、タチの悪い男に出会うこともなかった。しかし一方で、麻衣がいなかったら、その男とも別れられなかったと思う。それは麻衣に、許せないものへの、純粋な強い意志が働いたからこそ、成し得たんです。さえやアカネには言いましたが、麻衣はこの南玉連合を、紅子さんの理念を繋いでいく、その証と信じていますよ」
さえとアカネは私の顔を見ながら頷いた
「さっき祥子が言った通り、砂垣さんのバックは今まで通りの星流会だろうけど、去年のレベルじゃない。それは、多美を襲った手口ではっきりしています」
ここでは、ほとんど全員が頷いていた
...
「麻衣が相和会内部の人間になったのは、もう確実な事実です。そこで、麻衣から決して逃げなかった私からの提案です。麻衣が部外者であることを絶対条件として、この戦いが終結するまでは、北田久美が本郷麻衣と必要最低限のやり取りを継続する…」
ここで私の憶測ながら、最後のひと押しをしてやるぞ!
「…おそらく、反南玉勢力の重鎮である岩本真樹子らは、南玉連合の総意で麻衣との絶縁方針を告げれば、まず、手を引きます。さらに、たぶん麻衣からの要請で実現したと思われる、墨東会正規組織の反砂垣表明も破棄に動きます。今はそれぞれが、恩讐を断ち切らないと、またバラバラになりかねません!私も麻衣と同様、勝手に”立場”を放棄した身です。すいません。そんな私が、長々と偉そうな演説をして…」
ああ…
これで私の言うべきこと、晒すべきことはすべてだ
ケイコ
「…皆さんご存じの通り、私は去年の夏、火の玉川原で麻衣と殺し合い寸前まで戦いました。それ以降、麻衣とはこの南玉連合内でも真正面でぶつかり合ってきました。それは”すべて”の面で…。麻衣が相和会の会長と取り交わした”約束”も、私だってやってやる!そう言うことも含めてです」
とうとう、”ここまで”言ってしまった…
みんなの前で
「その結果が、この夏の薬物での逮捕につながった訳ですが、正直、個人的には麻衣のことは、死んでも許せないって感情を持っています。でも、麻衣は自分の欲得で動く人間ではないんです。ただ心の奥底に宿す、本当の自分に忠実に生きてるだけなんです」
みんなの視線に、これほど身を突かれる感覚は初めてだ
...
「…ここにいる全員が、麻衣とはいろんな係りがあったと思います。その結果、恨む者もいれば、逆に感謝する者もいる。麻衣は決して人には媚びず、許せないものは決して許さない。これは他人だけにではなく、自分に対してもなんです。そのゆるぎない決意を持って、日々、生きているんです」
会場内はシーンと静まりかえっている
自分の言葉だけが耳に届くってのも、なんか異様だ
「私は麻衣と出会ったことで、結果的に薬物で警察沙汰を起こし、高校は退学処分になり、家を出ることになりました。逆に、祥子は麻衣と出会って、思いっきり一対一で戦った末、麻衣とは心を通じて南玉に入り、ダブって休学中だった都内の高校から埼玉校に移りました。結果として、まじめに通ってると聞いています」
ここで、会場内に笑いがこぼれた
...
「久美は大河原高校で麻衣と知り合わなければ、タチの悪い男に出会うこともなかった。しかし一方で、麻衣がいなかったら、その男とも別れられなかったと思う。それは麻衣に、許せないものへの、純粋な強い意志が働いたからこそ、成し得たんです。さえやアカネには言いましたが、麻衣はこの南玉連合を、紅子さんの理念を繋いでいく、その証と信じていますよ」
さえとアカネは私の顔を見ながら頷いた
「さっき祥子が言った通り、砂垣さんのバックは今まで通りの星流会だろうけど、去年のレベルじゃない。それは、多美を襲った手口ではっきりしています」
ここでは、ほとんど全員が頷いていた
...
「麻衣が相和会内部の人間になったのは、もう確実な事実です。そこで、麻衣から決して逃げなかった私からの提案です。麻衣が部外者であることを絶対条件として、この戦いが終結するまでは、北田久美が本郷麻衣と必要最低限のやり取りを継続する…」
ここで私の憶測ながら、最後のひと押しをしてやるぞ!
「…おそらく、反南玉勢力の重鎮である岩本真樹子らは、南玉連合の総意で麻衣との絶縁方針を告げれば、まず、手を引きます。さらに、たぶん麻衣からの要請で実現したと思われる、墨東会正規組織の反砂垣表明も破棄に動きます。今はそれぞれが、恩讐を断ち切らないと、またバラバラになりかねません!私も麻衣と同様、勝手に”立場”を放棄した身です。すいません。そんな私が、長々と偉そうな演説をして…」
ああ…
これで私の言うべきこと、晒すべきことはすべてだ