ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
その4
ケイコ



うーん、急所攻撃ね…

「この際、そんなきれいごとは後回しでいいと思うけどな…、私は。おけいはどうだ?」

「やっぱり、極力そういう手は避けた方がいいよ。あのさ…、現実的に、一発の攻撃じゃ無理だと思うんだよね。相手は屈強な大男なんだし。いくつかの攻めを間髪入れずに叩き込む…。まあ、連続の合わせ技だよね。祥子、この態勢からだと、どんなバリエーションが可能かな?」

「そうだな…。その場合でも、一発目の攻撃が重要だろ。それが、ある程度効き目がなけりゃ、2発目までに相手の攻撃を食うよ。右手以外は使えるんだから、向こうもさ」

なるほど…、さすが祥子はケンカの場数を積んでるから、そういった視点は鋭いや


...


「よし、ワンバージョン考えたぞ!」

祥子のアイデアは、まず体を持ち上げられて、地面から宙に浮いている両足を前後に振ったそのリバウンドを利用して、膝を相手の腹部あたりにぶち込む

次に両手で相手の両耳にチョップを打ち込み、さらに相手のひるみ具合を捉え、右手で相手の首を抱え込み、ヘッドロックで思いっきり締め付けるといった、いわば3弾攻撃だ

「わー、それは凄いよ!祥子のパワーなら、十分通用するって‼」

多美は興奮気味に拳を作って、早くもガッツポーズだ

確かにこれなら、絞首刑攻めから脱出するだけでなく、即攻撃に持って行けるか…


...



「まあ、他にも3弾攻撃をベースにした、いくつかの攻めパターンは考えてみるよ」

「うん。それでさ…、このレポートは今度、矢吹先輩との稽古ん時に持って行ってさ、あの人からもレクチャーを受けてみてよ。当然、相手はその吊り技以外の攻撃を持っているはずだから。トータルで勝てる作戦をさ…。祥子と矢吹先輩なら、最高の戦法をあみ出せるよ」

「わかった。とにかく十分な対策を期すさ。急いでな。せっかく麻衣のヤツが、ここまで私らの為に動いてくれたんだ。やってやるさ!」

祥子は目をギラギラさせ、頼もしく宣言してくれた





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