ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
その2
祥子



「おらー!」

矢吹は腰の入ったケリを速射砲のように打ってくる

私は後ろずさりしながら、左右双方から見舞ってくる早くて重いケリ足を払うだけだ…

序盤は完全に防戦一方だった


...



思ったよりスピードがあるな…

「そらー!」

わあー、回し蹴りか!

「うぐっ…」

みぞおちにモロ喰らったわ

こりゃ応える…


...


「そら、行くぞー!」

バシーン!!

思わず両手で腹部を押さえ、顔がガラ空きなったところで、裏拳かよー!

痛えー…

私は思わず片膝をついた

「祥子さん‼」

「…手出しすんな!お前らは全員ががりでも湯本を潰すんだ」

レッドドッグスのメンバー5人は、一斉であっこに掛かろうとするが、フットワークのいい湯本あっこは、やや肥満気味でスタミナに懸念アリの日高なつきを標的にして、他は軽く払ってる

あの野郎、ドッグスを一人ずつ倒す気だ

簡単にはいかねーか、やっぱり…


...


「オリャー!」

来たな…

矢吹の右からのケリが私の首を捕えようとしたその瞬間、私は首をカメのようにひゅっと素早くひっこめた

大きく空振りして態勢が整わない矢吹の腰あたりへ、私はすかさず飛び込んでタックルをかました

そして間髪入れずにマウントポジションに入り、両の拳を上からメッタ打ちだ…

しかし、矢吹も私の振り下ろす腕をすり抜け、半身起き上がりざまにひじ打ちを放ってきやがった

「ううっ…」

うん…?

私の体から離れ、起き上がった矢吹は右肩を押さえているわ


...


そうか…

昨日、黒沼高を襲撃した迫田リエにやられて肩を痛めたんだったな

私はその間を見逃さず、ヤツの正面からパンチと蹴りのラッシュ攻撃に入った

これは私の18番さ

「オラー、テメー、喰らえー‼」」

バタン…!

ついに矢吹は右肩を押さえながら倒れた

そして、地面を這って呻くように痛みをこらえてるわ

ふう…

どうやら相当キツいようだな…

昨日夕方…、黒沼高校襲撃時、迫田リエにバイク上から鉄パイプで殴られてなきゃ、私などに負けることはなかっただろうに…





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