ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
その7
砂垣



俺はそいつをひょいと横に逸れてかわし、4人の後ろへ回った

「ぎゃー!」

振り返ると、塀を背にして腕組みをしていたバグジーが、女の首を右手で掴んでたよ

「克子ー!」

そしてそのまま体ごと吊り上げ、早速、必殺絞首刑クローのお披露目だ

「この野郎ー!」

すかさず吊られてもがき苦しむ仲間を助けようと、他の3人が一斉にバグジーめがけ突進して行った

が、しかし…



...



ふう、デカい体してなんと機敏な立ち回りなんだ、バグジーのヤツ…

吊り上げた女をそのままで、ケリと左手の張り手だけで、あっという間に3人をのしやがった

地面にへたり込んでる3人を見下ろすと、吊り上げた女を放り投げたぞ

「克子ー、大丈夫か!」

3人は克子と呼ばれてる女の元へ、よたよたと駆け寄って行った

「さあ、お前、行くぞ」

バグジーはここで新村に宣言した

「バカヤロー!そう簡単に参るもんか‼」

新村は、自分よりはるかに体の大きいバグジーの腹部へ、パンチを何発も打ち込んだ

だが、全く効き目が届かないのを見かね、新村がバグジーの顔を見上げたその瞬間…

「わーー‼」


...



何と、バグジーは新村の顔面を右手で掴むと、そのまま体を宙に浮かせた状態で歩き出したわ

「新村さん!」

「静美ー‼」

他の3人はやっとこさで立ち上がって、新村を運搬中のバグジーの背中へ向かっていった

だが、今度は大場と男4人が3人の相手だ

バグジーにやられてグロッギー状態だった3人は、さすがにあっさりとダウンだ

もう、地べたに倒れ込んで動けない

その間に宙で両足をばたつかせてる新村の顔面を掴んだバグジーは、表通りに出て行った

俺の視界に映るその”絵”は、まさに猛禽類が獲物をワシ掴みにして、巣に運ぶ様そのものだったよ

今頃は待機中のバンに放り込んでるだろう

ヤツはひと足先に目的地に向かう

さてと…

こっちもさっさと取り掛かろう


...


「いいか‼お前らよく聞けよ。南玉に戻って、トップに告げな。新村は預かった。返して欲しくば、相模浦北の廃車プールに来いとな!何人で来ようが構わない。団体様歓迎だよ。しっかり伝えろよー!」

道路にヘタレ混んでいる3人は、歯ぎしりをさせながら、オレを睨み付けて聞いてるわ

全くよう、その目はもう見飽きたって

この地の女はみんなこんなだよ、ハハハ…(苦笑)





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