ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
その12
ケイコ



久美のバイクに乗っかって、ベッツに着いた

既に店の前はバイクでいっぱいだわ

”先日の夜”の3倍近くはあるよ

「みんな、もう集まってるみたいだね。おけい、行こう」

「うん…」

私たちは急ぎ足で、ベッツの店内に入った


...



「久美、おけい…、お疲れ!」

入り口付近に立っていたアカネとルミが声をかけてきた

それに、さえもいる

店内を見回すと…

うーん、数十人の人で埋まってて、凄い熱気だ…

その後も、ひっきりなしに後から後から人が絶えないし…

私たちが到着して5分ほどすると、店の奥にいた岩本真樹子さんが立ちあがったわ

それに祥子と多美も続いた

「みんなー、いよいよ、これから決戦だ!まずは今日、タイマンに臨む二人を代表して、本田多美代からコメントをもらおうと思う…」

”おー、多美さーん!”

出陣決起会場となった店内からは、拍手と歓声が沸き起こったぞ…


...



「…今日の対決に際して、みなさんにはまずお詫びをさせてもらいたい。私の不注意で敵に襲われ、今回の事態勃発を招きました。遅くなって恐縮ですが、すいませんでした…」

”多美は5人に襲われた被害者だ!謝る必要なし!”

”そうよ、奴らには卑怯な手段で火傷まで負わされたのよ!許せないわ!”

”本田さん、今日は恨みを晴らしてください!”

”そうだ!多美、ガンバレ!”

多美が持ち前の大きな声でストレートに謝罪すると、即、さえが口火を切って、店内からはそれに呼応する激励や掛け声が相次いでる

「…みんな、ありがとう。祥子も私も、みんなの気持ちを背負って、バグジーと三島にぶつかってくるよ。そして、絶対つぶす!」

”うぉー!”

”パチパチパチ…”

ベッツの店内は凄いどよめきだ…


...



「よし、全員が一丸となった限りは、あとは二人に託そう。それと…、今日のジャッジには、先方から横田競子を指名してきたわ。祥子らが検討した結果、相手側に特段の策謀はないだろうと判断し、横田さんには同意を得て、ジャッジをしてもらうことになったので、改めて報告するわ…。ええと、横田はどこだ…?」

うわあ…

岩本さんから、私が審判を務めることが告げられたわ





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