ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
その14
ケイコ
「わあ…、横田さん!会いたかったわよー」
私たちは気が付くと、抱き合っていてね…
「波沢さん、いらしてくれたんですね!」
「ええ、今日は何としても、この目で見届けさせてもわないとって…。あなたがガッチリまとめた都県境の女勢力の、その底力をね。で、今着いたとこよ…」
「そうですか…、遠いところすいません」
「ううん…、今日はレフェリングなんですってね。ご苦労様。あなた、いろいろあって大変だってなのに…。相変わらず、凄い人だわ」
この人は湘南の波沢丈子さんだ
神奈川南部を拠点とする、レディー・モッグスのアタマをやってる豪女だよ
...
丈子さんは、荒子さんの路線を県外で波及させるムーブメントでは、常に先頭を切ってくれていた
去年の夏の再編においては、県外勢力の象徴として関わってきた人だし‥
この春に荒子さんが南玉を引退し、麻衣と私の双頭体制に移行した際も、私ら双方の緊張関係を枠外から見守ってくれてたんだ
麻衣もこの人がお目付け役だってんで、かなり自制してね…
そのおかげで、麻衣と私は均衡関係が保てたって面がある
...
そしてこの度、南玉が再び分裂の危機に直面した時には、いち早く県外から熱いエールを送ってくれてた
「アナタと本郷さんが同時に南玉を抜けて、私達県外の人間も心配してたけど、津波さんはあなたたちの後をしっかりに担ってくれてた…。嬉しいわ。なにしろ津波さん、一回りデカくなって見えたわ」
「今日の決戦相手は、通称バグジーって呼ばれるプロレスラー並みの体躯を持った凄腕の雇われなんです。体力的にも勝負できるのは祥子以外にいませんでしたから…。彼女は南玉のみならず、あなた方県外を含めたの協力勢力からの思いを背負って今日の日に備えてきました。祥子なら、やってくれますよ!」
私はやや興奮気味にそう言ってね
したら、丈子さん、感無量って表情でこう答えてくれた
「今日は、紅丸さんが火をつけた、あなた方、東京埼玉県境の猛る女たちの集大成なのよね。今、一致団結したあなた方をこの目にして、黒原吹子さんも言っていた通りだったと確信でした。今の南玉は、南玉連合OGの甲斐由美子さんが描いていた姿に到達していた…」
「丈子さん…!」
「今日はどういう結果になろうとも、私は最後までしっかり立ち会う。一部始終をこの目で刻む…。アナタも頑張って!じゃあ、向こうで会いましょう」
波沢さんはそう言った後、仲間二人とバイクでベッツを後にした
...
「…丈子さんにはさ、麻衣も連絡入れてたみたいだよ。南玉を去った立場だけど、これからもよろしくって…。丈子さん、言ってったなあ…。今回は、おけいと麻衣がまるで協力し合って、南玉と都県境を守ろうとしてるみたいだって。あの人、おけいと麻衣が今の関係だって知ってるのにね…」
「そう…」
「さあ、私たちも向かおう」
こう言ってエンジンを吹かす久美って、結構格好いい…
私は、最近すっかりなじんだ久美の単車の後ろに跨った
すでに夕闇に覆われ、腕時計の針は午後6時ジャストを指そうとしていた
ケイコ
「わあ…、横田さん!会いたかったわよー」
私たちは気が付くと、抱き合っていてね…
「波沢さん、いらしてくれたんですね!」
「ええ、今日は何としても、この目で見届けさせてもわないとって…。あなたがガッチリまとめた都県境の女勢力の、その底力をね。で、今着いたとこよ…」
「そうですか…、遠いところすいません」
「ううん…、今日はレフェリングなんですってね。ご苦労様。あなた、いろいろあって大変だってなのに…。相変わらず、凄い人だわ」
この人は湘南の波沢丈子さんだ
神奈川南部を拠点とする、レディー・モッグスのアタマをやってる豪女だよ
...
丈子さんは、荒子さんの路線を県外で波及させるムーブメントでは、常に先頭を切ってくれていた
去年の夏の再編においては、県外勢力の象徴として関わってきた人だし‥
この春に荒子さんが南玉を引退し、麻衣と私の双頭体制に移行した際も、私ら双方の緊張関係を枠外から見守ってくれてたんだ
麻衣もこの人がお目付け役だってんで、かなり自制してね…
そのおかげで、麻衣と私は均衡関係が保てたって面がある
...
そしてこの度、南玉が再び分裂の危機に直面した時には、いち早く県外から熱いエールを送ってくれてた
「アナタと本郷さんが同時に南玉を抜けて、私達県外の人間も心配してたけど、津波さんはあなたたちの後をしっかりに担ってくれてた…。嬉しいわ。なにしろ津波さん、一回りデカくなって見えたわ」
「今日の決戦相手は、通称バグジーって呼ばれるプロレスラー並みの体躯を持った凄腕の雇われなんです。体力的にも勝負できるのは祥子以外にいませんでしたから…。彼女は南玉のみならず、あなた方県外を含めたの協力勢力からの思いを背負って今日の日に備えてきました。祥子なら、やってくれますよ!」
私はやや興奮気味にそう言ってね
したら、丈子さん、感無量って表情でこう答えてくれた
「今日は、紅丸さんが火をつけた、あなた方、東京埼玉県境の猛る女たちの集大成なのよね。今、一致団結したあなた方をこの目にして、黒原吹子さんも言っていた通りだったと確信でした。今の南玉は、南玉連合OGの甲斐由美子さんが描いていた姿に到達していた…」
「丈子さん…!」
「今日はどういう結果になろうとも、私は最後までしっかり立ち会う。一部始終をこの目で刻む…。アナタも頑張って!じゃあ、向こうで会いましょう」
波沢さんはそう言った後、仲間二人とバイクでベッツを後にした
...
「…丈子さんにはさ、麻衣も連絡入れてたみたいだよ。南玉を去った立場だけど、これからもよろしくって…。丈子さん、言ってったなあ…。今回は、おけいと麻衣がまるで協力し合って、南玉と都県境を守ろうとしてるみたいだって。あの人、おけいと麻衣が今の関係だって知ってるのにね…」
「そう…」
「さあ、私たちも向かおう」
こう言ってエンジンを吹かす久美って、結構格好いい…
私は、最近すっかりなじんだ久美の単車の後ろに跨った
すでに夕闇に覆われ、腕時計の針は午後6時ジャストを指そうとしていた