ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】
チャプター2/ツナミ、大海へ
その1
祥子
うわあ…
私は会場に入った瞬間、もう仰け反ったわ
人数だけは30人超えてるかな
ふふ…、何人か見覚えのある顔が並んでら
みんな、私から視線外してるし(苦笑)
こりゃ、今日招集されたここのメンツ…、レベル知れてるわ
***
「…あー、今日は風の強い中、集まってくれてどーも。自分は主催者側の大場ってもんだ。…ええと、ここに参集の皆さんは、今回の”募集”における書類選考をクリアした32人になります。本日の2次審査ではずばり、ディスカッションをしてもらう。以下の進行はとなりの岩本が行うんで、よろしく。…真樹子、頼むわ」
か~‼
応募側もさることながら採用側もなんだよ、このやる気のなさは…!
ディスカッションだって…?
アホらし~~
そもそも、大場さんは砂垣さんの片腕だろーが!
この地発祥と言われた猛る女の代弁者を気取ってる紅組と、その追随者である南玉連合の掃討を掲げて、”戻って”来たんじゃないのかよ!?
どうなってんだ、あの人たちは…
私は早くもカリカリしてたわ
***
したら…
「…じゃあ、ここからは私が進行に当たるわ。私は、岩本真樹子です!まず今回、こちらが女の腕達者を公募した主旨をみんなに告げるわね。ここ東京埼玉の都県境は、言うまでもなく猛る女たちの聖地よ!それを、一部の女どもが我が物顔でルールを制定してる。バイク乗って男と対抗するのは、限られた選ばれし女のみってね。あとは自分らが困った時に助けてやるから、下々の女は各々出来ることで己を磨けとさ。これって、選民主義の抑圧じゃないのよ。違う?」
「いえ、岩本さんの言うとおりです!連中は何様のつもりなんだ!」
「そうよ、最近の南玉連合なんか自分達だけは特別だって威張り散らしてるわ!」
おお…!
岩本さんの方はえらく気合い入ってんじゃん
すぐにみんなのスイッチをオンにしちゃった
いいわ、熱くて
でも、すでに大汗だわ、あの人(苦笑)
***
「…従って、我々は今こそ現状の疲弊したフレーム打破を掲げ、フリーで悶々とし、秘める力を持ち余している人材を発掘、結集すべく、手を挙げたここに参集の皆に、その熱き志をぶつける場を提供したい。さあ、みんな!この際、思いの丈をぶちまけて激論を交わしあって欲しい。時間は40分設けます。完全フリートークで参ります。…さあ、どーぞ!」
おー、いいね、岩本さん!
じゃあ、早速発言するか…
と思った次の瞬間…、もう会場内はハチをつついたような大激論だ
ん…?
いや、ちょっと違ったわ…
***
「…なにしろ、やおら連中は上から目線よ。紅組と南玉に加入するのって、宝塚に入団するくらいの難関じゃない。ふざけてるわよ!」
「言えてるわね。私だって、集団でバイク乗りまわしてスカッとしたいわ。でも、南玉と紅組なんて雲の上の存在じゃん!だからフリーで走るしかないけど、現実には彼女たちの正規なバック印がないと、墨東会一派の暴走族にプレッシャーをかけられるよ。だから自然と遠慮しながらになる。そんなん、女が自由にやりたいことをできる環境なんかじゃないでしょーが!」
「同感だわ。この地に根づいた赤塗りは張りぼてよ!この際、奢り切った彼女たちの枠を離れた勢力の樹立!今がその時期よ」
「そうよ!もう紅組や南玉なんかアテにしないで、新しい組織で各々が自立すべき時ね」
「うん、ここに集まった人間でまとまって、連中を見返してやろうよ!」
あ~あ~
結局、南玉と紅組へ不平不満をぶつけて、そんでただ漠然と気勢上げてるだけじゃん
まあ、その気持ちは私にもよくわかるが…、こんなんじゃ何も生まれないよ
所詮、生産性のない愚痴の吐露に過ぎないだろ
意味ないって
岩本さんはその辺、どう捉えてるんだろうか…
まあ、もう少し様子見てみるか
***
さすがに連中、10分を過ぎたところでグチに飽きたのか、ようやく既存勢力への対抗策らしき意見も出してきたわ
「…でもさ、何て言っても紅組と南玉は筋金入りの精鋭が揃った強者の集団よ。寄せ集めのハンパな組織作っても勝ち目ないでしょう?」
「いや、だからこそ数なのよ、何しろ。それにバックで愚連隊がついてくれるんならさ、十分対抗勢力になり得るわ。まずは100人を目標にしたらどうかしら」
「うん、じゃあ今いる32人で単純に割れば、最低でも3人はゲットが必要になるわね」
「ならさ、ここにいる人間はそれをノルマにすればいいいいんじゃない?」
「よし、どうせなら3人とは言わず、いっそ5人集めて150を超える勢力を目指そう!…そんで、この32人が自分の集めた人間を仕切るってのはどう?」
「それ、いいと思うよ!個々のやる気にもつながるし」
「うん!ならさ、更に下の人間にもノルマを課せばどんどん膨らむわね。組織体系はピラミッド型で統括すればいいし…」
ハハハ…
ネズミ講じゃんか、それじゃあ…
祥子
うわあ…
私は会場に入った瞬間、もう仰け反ったわ
人数だけは30人超えてるかな
ふふ…、何人か見覚えのある顔が並んでら
みんな、私から視線外してるし(苦笑)
こりゃ、今日招集されたここのメンツ…、レベル知れてるわ
***
「…あー、今日は風の強い中、集まってくれてどーも。自分は主催者側の大場ってもんだ。…ええと、ここに参集の皆さんは、今回の”募集”における書類選考をクリアした32人になります。本日の2次審査ではずばり、ディスカッションをしてもらう。以下の進行はとなりの岩本が行うんで、よろしく。…真樹子、頼むわ」
か~‼
応募側もさることながら採用側もなんだよ、このやる気のなさは…!
ディスカッションだって…?
アホらし~~
そもそも、大場さんは砂垣さんの片腕だろーが!
この地発祥と言われた猛る女の代弁者を気取ってる紅組と、その追随者である南玉連合の掃討を掲げて、”戻って”来たんじゃないのかよ!?
どうなってんだ、あの人たちは…
私は早くもカリカリしてたわ
***
したら…
「…じゃあ、ここからは私が進行に当たるわ。私は、岩本真樹子です!まず今回、こちらが女の腕達者を公募した主旨をみんなに告げるわね。ここ東京埼玉の都県境は、言うまでもなく猛る女たちの聖地よ!それを、一部の女どもが我が物顔でルールを制定してる。バイク乗って男と対抗するのは、限られた選ばれし女のみってね。あとは自分らが困った時に助けてやるから、下々の女は各々出来ることで己を磨けとさ。これって、選民主義の抑圧じゃないのよ。違う?」
「いえ、岩本さんの言うとおりです!連中は何様のつもりなんだ!」
「そうよ、最近の南玉連合なんか自分達だけは特別だって威張り散らしてるわ!」
おお…!
岩本さんの方はえらく気合い入ってんじゃん
すぐにみんなのスイッチをオンにしちゃった
いいわ、熱くて
でも、すでに大汗だわ、あの人(苦笑)
***
「…従って、我々は今こそ現状の疲弊したフレーム打破を掲げ、フリーで悶々とし、秘める力を持ち余している人材を発掘、結集すべく、手を挙げたここに参集の皆に、その熱き志をぶつける場を提供したい。さあ、みんな!この際、思いの丈をぶちまけて激論を交わしあって欲しい。時間は40分設けます。完全フリートークで参ります。…さあ、どーぞ!」
おー、いいね、岩本さん!
じゃあ、早速発言するか…
と思った次の瞬間…、もう会場内はハチをつついたような大激論だ
ん…?
いや、ちょっと違ったわ…
***
「…なにしろ、やおら連中は上から目線よ。紅組と南玉に加入するのって、宝塚に入団するくらいの難関じゃない。ふざけてるわよ!」
「言えてるわね。私だって、集団でバイク乗りまわしてスカッとしたいわ。でも、南玉と紅組なんて雲の上の存在じゃん!だからフリーで走るしかないけど、現実には彼女たちの正規なバック印がないと、墨東会一派の暴走族にプレッシャーをかけられるよ。だから自然と遠慮しながらになる。そんなん、女が自由にやりたいことをできる環境なんかじゃないでしょーが!」
「同感だわ。この地に根づいた赤塗りは張りぼてよ!この際、奢り切った彼女たちの枠を離れた勢力の樹立!今がその時期よ」
「そうよ!もう紅組や南玉なんかアテにしないで、新しい組織で各々が自立すべき時ね」
「うん、ここに集まった人間でまとまって、連中を見返してやろうよ!」
あ~あ~
結局、南玉と紅組へ不平不満をぶつけて、そんでただ漠然と気勢上げてるだけじゃん
まあ、その気持ちは私にもよくわかるが…、こんなんじゃ何も生まれないよ
所詮、生産性のない愚痴の吐露に過ぎないだろ
意味ないって
岩本さんはその辺、どう捉えてるんだろうか…
まあ、もう少し様子見てみるか
***
さすがに連中、10分を過ぎたところでグチに飽きたのか、ようやく既存勢力への対抗策らしき意見も出してきたわ
「…でもさ、何て言っても紅組と南玉は筋金入りの精鋭が揃った強者の集団よ。寄せ集めのハンパな組織作っても勝ち目ないでしょう?」
「いや、だからこそ数なのよ、何しろ。それにバックで愚連隊がついてくれるんならさ、十分対抗勢力になり得るわ。まずは100人を目標にしたらどうかしら」
「うん、じゃあ今いる32人で単純に割れば、最低でも3人はゲットが必要になるわね」
「ならさ、ここにいる人間はそれをノルマにすればいいいいんじゃない?」
「よし、どうせなら3人とは言わず、いっそ5人集めて150を超える勢力を目指そう!…そんで、この32人が自分の集めた人間を仕切るってのはどう?」
「それ、いいと思うよ!個々のやる気にもつながるし」
「うん!ならさ、更に下の人間にもノルマを課せばどんどん膨らむわね。組織体系はピラミッド型で統括すればいいし…」
ハハハ…
ネズミ講じゃんか、それじゃあ…