好きすぎてヤバい。〜秘密の終わりは恋の始まり⁉︎〜
「ここに座って」



ぼーっと突っ立ったままの私に声をかけた瑞樹くんが、指していた場所はドレッサーのような場所だった。

だけど、ドレッサーっていうより、なんだか……。



「美容室みたいだね」



うん、そんな感じ。

座り心地が良さそうな椅子の前に、壁に設置してある台があって。

そこには大きな鏡もついていて、まるで美容室。



「まあ。両親が美容師だからね」

「そうなんだ。じゃあ、瑞樹くんも美容師を目指しているの……?」



その問いかけには返事がなかった。

代わりに、『早く座れ』というような、そんな空気感。

私なんかが座っていいのかと思ったけど、瑞樹くんの圧に負けて、そっと椅子に腰かける。

その瞬間、部屋の空気が変わった。

瑞樹くんは、ぱっと私の首にタオルをかけ、メイクボックスのようなものを目の前の台に置く。

慣れた手つきでボックスを開ける瑞樹くん。

その中にはたくさんのメイク道具が並んでいた。
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