好きすぎてヤバい。〜秘密の終わりは恋の始まり⁉︎〜
「中学生の頃だったし、僕も男だったから抵抗もできたんだけど、」

「……」

「抵抗したら大事なメイク道具を全て割る、って脅された」

「そんな……」

「それだけなら、まだ買いなおせるから。だけど、そいつは言ったんだ」



瑞樹くんの手が止まったのが分かる。

私はゆっくりと目を開け、瑞樹くんを見つめる。

その目は切なくて、悲しげだった。



「メイクを理由に女を部屋に連れ込んでいるって、噂を流すから、って……」

「っ、」

「僕はどうしていいのか分からなくて。でも、抵抗したんだ。好きでもない奴に脅されて、体を重ねる意味もない」



瑞樹くんは、私から目をそらしてメイク道具を片付け始める。

その音が、先ほど聞いた音とは違って悲しさを帯びているように感じた。
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