好きすぎてヤバい。〜秘密の終わりは恋の始まり⁉︎〜
「そういえば、さっきなにか言いかけた⁉」

「ううん。あとでいい」

「じゃあ、あとで聞く!」



私と最上くんは、小走りで教室に戻った。


授業にギリギリ間に合ったーっ。

遅刻は回避!


……と思ったが、私はやらかした。

最上くんと一緒に教室へ戻った私は、クラスの女子たちからの鋭い視線を浴びることは回避できなかった。

女の子たちがらは鋭いくらいの視線を浴びてしまったけど、こうして最上くんの隣の席にすわることが出来てよかった。

この席も案外、悪くないかもしれないな……。

初めてそう思った瞬間だった。


窓際の席の最上くん。

ちらりと、彼の姿を見る。

最上くんは相変わらずマイペースで、授業がもうすぐ始まるっていうのに、教科書もノートも用意する気配がない。

そんな最上くんを見て、小さく笑ってしまう。


窓の向こうの校庭を縁取るように、植えられている桜の木。

桜の花びらはほとんど散ってしまった。

最上くん越しに見える校庭の地面には桜の花びらが落ちている。


びゅわっ。

風が思い切り吹きぬけ、地面に落ちていた桜の花びらが大きく舞い上がった。


スタートダッシュに失敗した高校生活。



『今からでも遅くないよ』



風に乗って高く舞い上がる桜の花びらたちが、私にそう言っているみたいだった。
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