ジェラシーを彷徨わせて
「っ、おいしい……しあわせ……」
ふわっと口溶けのいい感触と、やわらかな甘さと、ハチミツの香り。やっぱりフレンチトーストだいすき……と朝食開始3秒でテンションを復活させた私は、ふにゃ〜とゆるんだ頬のままぱくぱくとフレンチトーストを食べ進める。
すると、不意に視線を感じて。
「なに?」
「……や、いつかほっぺた落ちそうだなって」
「"ほっぺた"って言い方、なんかあざとくてヤ」
「あざとくて、なにが悪いの?」
「……あのね、そのセリフは、すっごく綺麗なひととか、かわいいひとが言うから成り立つんだよ。凪はだめでしょ!」
「だめとは?」