夏の大三角~恋~
しばらくして。
ポンと肩を叩かれる。
びくりと震える。
誰にも見られたくなかった。
失恋して泣く惨めったらしい私なんて。
でも、肩に乗った手は、温かくて。
しっかりと私の肩に触れていた。
「竜二…先……輩。」
綺麗な顔立ちをした彼は、憂いを含んだ瞳で、キスをする二人を見ていた。
先輩は、一瞬で理解しただろう。
私が失恋したことに。
気遣って、一言も喋らないんだ。
私、自分の都合で先輩を気遣わせちゃっている。
こんな弱い自分が嫌だったけど。
涙は止まらないどころか、ひどくなっていた。