君の見ていた空

両親視点


 ウチの子ども達は天使だ。というか、とんでもない顔面偏差値をしている。

 凪沙ちゃんは、自覚有りの美少女で、周りの友人達と仲良くやっている。

 対する梓ちゃんは、無自覚美少年というか……あまり自分の顔の良さを実感していない。これは、凪沙ちゃんが梓ちゃんの顔を見て、自分だけの物にする為に言葉巧みに顔を隠すように言ってきたせいなのだが。
 凪沙ちゃんは、とんでもないブラコンだ。梓ちゃんラブで、同担拒否タイプなので、辛うじて生みの親である両親は許すが、それ以外は絶許タイプである。
 凪沙ちゃんのブラコン具合は、凪沙ちゃんの友人も何となく察していて、友人達の口から梓ちゃんの話題が出た事はない。
 と言うか、梓ちゃんの名前を出した途端に、凪沙ちゃんが相手を葬っていたような気がする。とんでもなく狂気的な笑顔で梓ちゃんの名前を口にした子を脅していたような???

 僕等的には、カワイイ凪沙ちゃんのする事は基本、犯罪以外は全肯定なので、好きにさせていたのだが、梓ちゃんの成長の妨げになっていたのかもしれない。

 梓ちゃんは、とにかく顔が良いし、頭も良いし、身体能力も良い。完璧人間である。親から見ても、この子の将来は薔薇色一色だったので、梓ちゃんが気になる事は全てやらせて、姉弟仲睦まじくやっているなら良いと思っていた。

 いつもの幸せな日常を狂わされるあの時までは。

 凪沙ちゃんが事故に遭って、目を覚まさなくなった。犯人探しをしようとすると、何故か圧力をかけられ、凪沙ちゃんの安全を守れなくなりそうにさせられた。

 僕等は、ごくごく普通の会社員の為、仕事を失うと困ってしまう。自分達の無力さに泣けてきた。凪沙ちゃんがこんなめに遭わされたのに、何もできない自分達がどうしようもない位、許せなかった。
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