大江戸ガーディアンズ
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杉山と与太の二人が辞したあと、兵馬は美鶴の酌を受けて酒盃をくーっと呑み干した。
そして、そのまま美鶴の方へ盃を突き出し、
「……ところでよ、何でおめぇまでが此処にいやがるんでぃ」
和佐に向かって訊いた。
兵馬と今宵の客人に酒を給仕するのであらば、美鶴と女中頭のみで事足りる。
なにも和佐までもがこの座敷に出向くことはない。
「旦那さまの御用向きの客人に出す御酒をおせいに支度させておりますると、和佐殿がお見えになって、一緒に参りたいと仰せになるゆえ……」
美鶴が差し出された盃に酒を注ぎつつ、さように口を添えた。
すると次の刹那、和佐がいきなり畳に手を付いて、身を投げ出すかのごとき勢いで平伏した。
「兄上っ」
気の強い妹の思いがけぬ様を目の前にした兵馬は思わずたじろいだ。
「な、なんだ……どうしたってんだ」
美鶴もおせいも何事か、と目を白黒させている。
和佐はさらに深く頭を下げた。
畳に額がくっついてしまうのではなかろうか。
杉山と与太の二人が辞したあと、兵馬は美鶴の酌を受けて酒盃をくーっと呑み干した。
そして、そのまま美鶴の方へ盃を突き出し、
「……ところでよ、何でおめぇまでが此処にいやがるんでぃ」
和佐に向かって訊いた。
兵馬と今宵の客人に酒を給仕するのであらば、美鶴と女中頭のみで事足りる。
なにも和佐までもがこの座敷に出向くことはない。
「旦那さまの御用向きの客人に出す御酒をおせいに支度させておりますると、和佐殿がお見えになって、一緒に参りたいと仰せになるゆえ……」
美鶴が差し出された盃に酒を注ぎつつ、さように口を添えた。
すると次の刹那、和佐がいきなり畳に手を付いて、身を投げ出すかのごとき勢いで平伏した。
「兄上っ」
気の強い妹の思いがけぬ様を目の前にした兵馬は思わずたじろいだ。
「な、なんだ……どうしたってんだ」
美鶴もおせいも何事か、と目を白黒させている。
和佐はさらに深く頭を下げた。
畳に額がくっついてしまうのではなかろうか。