大江戸ガーディアンズ
「そうだなぁ……」
伊作は雁首の火皿に丸めた刻み莨を詰めた。
「奉行所ってとこはよぉ、手前らの知らせはいつだって急だってんのに、知らせたら知らせたで『なにか手掛かりはねえのか』っていきなり聞いてきゃあがるに決まってっしなぁ……」
煙管の先を火入に近づけて、雁首の莨に炭火を焼べる。
「……とりあえず、おめぇに探っといてもらうとすっか」
その刹那、与太の勝気な眼がぎらり、と輝く。
——よしっ、あとは早速休みをもらう算段でぃ。
父親・甚八の苦り切った面が目にに浮かぶが……
——起っきゃがれってんだ。
そうと決まりゃあ、こんな処で油を売ってはいられない。
「そいじゃ、親分。おいらは仕事に戻るぜ」
与太は立ち上がり、小上がりからひょいと土間へ降りた。
「おう、高ぇ足場に用心しなよ」
伊作は旨そうに紫煙を燻らせて与太を見送った。