大江戸ガーディアンズ
〜其の弐〜
伝馬町の大通りに面した賑やかな店々には脇目も振らず、与太は奥まった細い通りに入っていった。
「ちょいと、御免よ」
水茶屋の暖簾をパッと払い、奥にある内所に向かって声をかける。
「あら、与太。へぇ、らっしゃい」
縞の長い前垂れ(前掛け)をした茶汲み娘のおるいが出てきた。
「伊作の親分はもう来てるってか」
「伊作の親分さんだったら、あすこにいなさるよ」
おるいが店の奥に顔を向けた。
すぐさま、与太も店の奥へ目を遣る。
「おう、与太……こっちだ」
一番奥の小上がりにいた伊作が、ひょいと顔を出した。