大江戸ガーディアンズ

「おうい、与太ぁっ。丸太()を送るぞう」

下から多平(たへい)が声を張り上げる。

「おう、上げてくれぇぃ」

阿吽の呼吸で、与太が応じる。

多平は与太が駆け出しの「小僧」の時分から鳶だけでなく火消しの仕事でも「いろは」を教えてくれた「兄貴分」だ。


「おい、久作(きゅうさく)っ」

与太は、多平と我が身の間で控える久作を呼んだ。

「へえっ」

すぐさま久作から返事が来る。

久作は小僧の時分から与太が「いろは」を教えている「弟分」だ。

「いいか、(あに)ぃからの丸太()、しっかり掴んで絶対(ぜってぇ)放すんじゃねえぞ」

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