大江戸ガーディアンズ

「お、お待ちくだされっ」

父の多聞、伯父の佐久間、そして近江守が一斉に兵馬を見た。

「控えおれ、兵馬。御前様の前であるぞ」

多聞が息子に一喝した。


だが、兵馬は父の制止を聞かなかった。

「畏れながら、御前様」

畳に額が付くほど、深々と平伏する。


「どうか、()の御役目は(それがし)に、
舞ひつる——いや、美鶴の夫である松波 兵馬に……

若様の身代わりとなり『髪切り』を(おび)き寄せる『囮』の任を下知してくださりまするよう、
伏してお願い申し(たてまつ)る」

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