大江戸ガーディアンズ
おすての故郷は秩父だと云う。
十人もの子だくさんの水呑み百姓の家で、下から二番目に生まれたおすては、二親にとっては「要らない子」であった。
ゆえに、「お捨て」と名付けられた。
夜明けから日が沈むまで畑仕事をして、日が暮れてからも夜なべして働けども、負い目(借金)ばかりが膨れ上がり、ついに上の娘から順に女衒に売っていく羽目になってしまった。
そして、とうとうおすての番になり、田舎ではなかなかの器量良しと云われていたため、姉たちとは違い吉原に連れてこられた。
今から半年前のことである。
されども、おすては十五にしては小柄で瘦せぎすのせいか、まだ初潮が来ていなかった。
月の障りの来ない、まだ女とは云えぬ「子ども」を見世には出せない。
見世を差配する内儀は、器量の悪くないおすてを「振袖新造」にさせて売り出そうとした。