大江戸ガーディアンズ

「おら……いや、わっちでもこんな綺麗な着物着せてもらえる……なんしゆえ……やっぱり吉原に来てよかった……なんし」

羽風は、とりあえずの間であろうが姉女郎になってくれた羽衣から、自身が見世に出た頃に来ていたと云う着物を譲り受けていた。


そして、なによりうれしいのが「名前」である。

見世でつかう源氏名は、姉女郎の名を一字もらうのが常だが、まさか羽衣から「羽」の字をもらえるとは夢にも思わなかった。

「羽風」となり「おすて」を捨てることができた。


「だから……今宵の『床入り』もなんとかやり遂げる……なんし」


羽風は一生分の運を注ぎ込んだのだろう。

羽衣の御座敷で初見世を迎えられたことから、きちんと「初会」「裏」「三会」と順序を踏んでもらっている。


たとえ——

奉行所や久喜萬字屋(見世)にとっては便利で都合の良い「囮」であろうとも……

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