大江戸ガーディアンズ

美鶴と和佐が振り向くと、兵馬が立っていた。


「そもそも、なんで遊女の髪を切ったのか、聞くのが先だろうが。
他の妓の髪を切ったってのは、ただの目眩しだってのが、おめぇにはわからねえのか。
(とが)人の口車に乗ってあらぬ方向へ押しやられてんのに気づかねえのか。
そいつが本当に切りたかったのは——」

兵馬は彦左を真っ直ぐに見据えた。


「——羽衣の髪だけだってのよ」

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