大江戸ガーディアンズ
「美鶴」
兵馬は妻の名を呼んだ。
「次に会うときは、我が松波の屋敷だ。
……待っておるぞ」
美鶴は満面の笑みを浮かべた。
客人に見せてきた振袖新造の「舞ひつる」でも……
本日限りの光り輝くばかりの艶やかな遊女「胡蝶」でもない……
美鶴そのものの自ずから出た笑顔だった。
兵馬はまた——
我が魂を引っこ抜かれた。
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和佐を追って、美鶴も部屋を出て行く。
兵馬は我が頬を一つ張った。無理矢理にでも正気に戻す。
そして、彦左を引っ立てて部屋をあとにした。