大江戸ガーディアンズ
「な、なんだと……」
いつも冷静沈着な主税の顳に青筋が立った。
「ただ、離縁するにあたり一つだけお願いがござりまする」
切実な目で和佐は夫を見上げた。
「何だ、申せ。聞いてやろう」
主税は怒りを抑えて云った。
だが、声は感情を鎮められず、微かに震えていた。
「……こ、子どもを連れて参りたいのでござりまする」
和佐は意を決して告げた。
「なんだと、千晶を連れて参ると云うのか。
おまえは姉と弟を引き離す気か」
「千晶だけではござらぬ。太郎丸もでござりまするっ」
和佐は叫んだ。
一月半も子どもたちと離れていたときのことが甦った。
——あないな辛さなぞ、もう二度としとうない……