大江戸ガーディアンズ

「待て待て待てっ、
おまえたちは幸せになるのかもしれぬが……」

主税の端正過ぎる顔が大きく歪んだ。


「妻にも子どもたちにも逃げられた末に、
本田の家に取り残される(それがし)だけが、
一人不幸のどん底に突き落とされておるではないかっ」

腕白盛りの太郎丸が絶対にしてはいけない悪戯をしたときに出す声で怒鳴った。


「ならば——如何(いかが)いたしましょう」

和佐は夫を見据えた。

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