大江戸ガーディアンズ

おすてがあれからどうなったか聞こうにも、久喜萬字屋は再建に向けて(せわ)しない。

なんと此度の仮宅は、御公儀(幕府)から深川で営む(ゆる)しが出たのだ。


深川木場で知られるかの地は、縦横に張り巡らされた掘割による水運に恵まれ、全国各地から材木だけでなく、米や塩なども集まってくるため、大名の蔵屋敷や商人の問屋が所狭しと軒を連ねている。

さような(ところ)に仮宅とは云え廓を出せるのだ。

内儀(かみ)は高笑いが止まらないだろう。


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そして、一月と少しぶりに吉原から伝馬町へと戻った与太は……

父との約束を果たす、と(みずか)ら切り出した。


てっきり、奉行所の御用聞き(手下)を辞めて鳶の火消しに専念するよう云われるかと思いきや——

「そろそろ身を固めてくんねぇか。嘉木屋の主人(あるじ)夫婦からおめぇに見合いの話が来てんだ。
其れを受けてくれさぇすりゃあ、あとはおめぇの好きにしろ。御用聞きだって続けて構わねえ」

甚八から云われたのは、かばかりであった。

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