大江戸ガーディアンズ

与太は其の音に魅入られたかように屏風へと近づいていく。

そして、其の前に立ったかと思うと、いきなり屏風をがたっと持ち上げた。


「お、おい、与太っ、てめぇ何してやがんだっ。礼儀知らずにも程があるぜっ」

「きゃあ、与太、今日のあんたはおかしいよっ、一体どうしちまったんだよっ」

父も母も息子が狂気乱心したと思って、慌てて制する。

仲人の主人夫婦も与太の乱行にすっかり固まっている。


だが、与太は一向構うことなく持ち上げた屏風の蛇腹をたたんで脇へ置く。


「あぁ、畜生……
せっかく身を固めてもらえるって思ってたのによぉ……
これで今日の見合いは御破算だ……」

「こんな子に育てちまって……
あたしゃもう……世間様に顔向けなんかできゃしないよ……」

父母はへなへなとその場へ座り込んでしまった。

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