大江戸ガーディアンズ

だが、おなごは首を左右に振った。

短すぎる髪が、其のふくりとした頬を打つ。


そして——

帯に挟んだ猫の根付から「ちりりん」と鈴の音がした。


「『お(すて)』じゃのうて『お(ひろ)』だいねぇ」

おなごは、はっきりと告げた。


訛りに対して卑屈に思う素振りなど、まったくなかった。

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